社会人になったタイミングや結婚・出産のタイミングで保険に入り、そのまま何年も見直していない——という方は少なくないはずです。
生命保険文化センターの調査によると、日本の世帯が支払っている保険料の平均は年間約37万円。月にすると約3万円です。これを適切に見直すことで、月1万円以上の節約ができるケースは珍しくありません。
なぜ保険の見直しが必要なのか
理由1:ライフステージが変わっている
保険に入ったときと今では、家族構成や収入、ライフスタイルが変わっているはずです。独身のときに入った高額な死亡保障は、結婚後に見直すべきですし、逆に子どもが独立した後は、死亡保障を減額できる可能性があります。
理由2:公的保障制度を理解していない
日本には手厚い公的保障制度があります。たとえば、高額療養費制度を使えば、年収約370〜770万円の方の場合、月の医療費の自己負担上限は約8〜9万円程度に抑えられます。
この制度を知らずに、民間の医療保険に過剰な保障をつけている方は多いです。
理由3:同じ保障内容でも保険料は下がっている
保険商品は年々進化しています。10年前に加入した保険と同じ保障内容でも、最新の商品なら保険料が安くなっていることがよくあります。特にネット生保の登場で、価格競争が進んでいます。
保険の種類別:見直しのポイント
生命保険(死亡保障)
生命保険の目的は「自分が亡くなったとき、残された家族の生活を守る」こと。つまり、必要な保障額は「遺族の生活費」から「公的遺族年金や貯蓄」を差し引いた金額です。
見直しポイント
- 子どもが小さいうちは手厚く、独立に近づくにつれて減額していく「逓減型」が合理的
- 住宅ローンを組んでいる場合、団体信用生命保険で住居費はカバーされるので、その分を差し引く
- 共働きの場合、片方の収入だけで生活できるなら、死亡保障は最小限でよい
たとえば、月額8000円の終身保険に入っている30代共働き夫婦が、掛け捨ての定期保険(月額1500円)に切り替えた場合、月6500円の節約になります。
医療保険
入院や手術に備える医療保険。ただし、前述の高額療養費制度があるため、民間の医療保険は「あれば安心」程度のものです。
見直しポイント
- 貯蓄が200万円以上あれば、医療保険は不要という考え方もある
- 入院日額5000円で十分(高額療養費制度があるため)
- 先進医療特約は月100円程度なので、つけておいても良い
- 「入院保障」よりも「通院保障」の重要性が増している(入院日数は短期化傾向)
月額4000円の医療保険を、入院日額5000円のシンプルなプラン(月額1500円)に変更するだけで、月2500円の節約です。
がん保険
がんは日本人の2人に1人が罹患すると言われ、治療も長期化しやすいため、保障の優先度は比較的高いです。
見直しポイント
- 診断一時金(100〜200万円)が最も重要。治療費だけでなく、収入減への備えにもなる
- 入院日額よりも通院保障を重視する(がん治療は通院中心にシフトしている)
- 古いがん保険は「上皮内新生物」が保障対象外のことがあるので確認
自動車保険
自動車保険は「対人・対物は無制限」が基本ですが、車両保険は見直しの余地があります。
見直しポイント
- 古い車(時価50万円以下)なら車両保険は外すことを検討
- 免責金額(自己負担額)を5万円→10万円に上げると保険料が下がる
- ダイレクト型(ネット型)に切り替えるだけで、年間1〜3万円安くなることが多い
具体的な見直し事例
事例1:30代夫婦+子ども1人の場合
見直し前(月額保険料合計:32000円)
- 夫:終身保険(死亡3000万円)月額12000円
- 夫:医療保険(入院日額1万円)月額5000円
- 妻:終身保険(死亡1000万円)月額6000円
- 妻:医療保険(入院日額1万円)月額4000円
- がん保険:月額3000円
- 学資保険:月額2000円
見直し後(月額保険料合計:18500円)
- 夫:収入保障保険(月額15万円・60歳まで)月額4000円
- 夫:医療保険(入院日額5000円)月額2500円
- 妻:定期保険(死亡500万円・10年)月額1000円
- 妻:医療保険(入院日額5000円)月額2000円
- がん保険(診断一時金200万円)月額3000円
- つみたてNISA:月額6000円(学資保険の代わり)
月額の差:13500円の節約
事例2:50代夫婦(子ども独立済み)の場合
子どもが独立した後は、死亡保障の必要性が大きく下がります。配偶者の生活費と葬儀費用を賄える程度(300〜500万円)があれば十分というケースが多いです。
この年代では、死亡保障を大幅に減額し、その分を老後の貯蓄に回すのが賢明です。
保険の見直しで注意すべきこと
注意1:解約前に新しい保険の加入を済ませる
古い保険を解約してから新しい保険に申し込むと、健康状態によっては加入できない可能性があります。必ず新しい保険の契約が成立してから、古い保険を解約しましょう。
注意2:解約返戻金を確認する
終身保険や養老保険には解約返戻金があります。加入からの年数によっては、解約すると元本割れする場合も。タイミングによっては、払い済み(保険料の支払いを止めて保障を縮小して継続する方法)のほうが有利なこともあります。
注意3:勧められるまま入り直さない
保険の見直し相談に行くと、新しい保険を勧められることがあります。「この保険に入り直したほうがお得です」と言われても、すぐに契約せず、一度持ち帰って冷静に比較しましょう。
相談窓口が特定の保険会社の代理店になっている場合、その会社の商品を優先的に勧められることがある点には注意が必要です。
保険を見直す手順
- 現在の保険証券をすべて集める: 保障内容と保険料を一覧にする
- 公的保障を確認する: 遺族年金、高額療養費制度、傷病手当金など
- 必要な保障額を計算する: 遺族の生活費 − 公的保障 − 貯蓄 = 必要保障額
- 複数の保険会社で見積もりを取る: ネットの一括見積もりサービスが便利
- 新しい保険に加入後、古い保険を解約: この順番が鉄則
まとめ:保険は「入ったら終わり」ではない
保険はライフステージに合わせて定期的に見直すべきものです。3〜5年に一度、あるいは結婚・出産・転職・住宅購入などの節目ごとに、現在の保障内容が本当に必要かを確認しましょう。
「保険を減らすのは不安」と感じるかもしれませんが、不安の正体を数字で把握すれば、必要以上に保障を厚くする必要がないとわかるはずです。
浮いた保険料を貯蓄や投資に回すことで、保険に頼らなくても安心できる家計を作っていきましょう。
参考資料・出典
この記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしています:
よくある質問(FAQ)
Q. 保険を見直すとき、誰に相談するのがベストですか?
A. 複数の保険会社を扱える「独立系FP(ファイナンシャルプランナー)」がおすすめです。特定の保険会社に偏らないアドバイスが期待できます。無料相談は便利ですが、相談員が特定の保険を勧める場合もあるので、必ず複数社の見積もりを比較しましょう。
Q. 共済(県民共済・こくみん共済)と民間保険のどちらがお得ですか?
A. 掛金の安さでは共済が圧倒的に有利です。月2,000円程度で入院日額5,000円の保障が得られます。ただし、60歳以降は保障内容が大幅に縮小されるため、老後の保障まで考えるなら民間保険と組み合わせるのがバランスの良い方法です。
Q. 保険を解約するとき、引き止められませんか?
A. 電話で解約を伝えると引き止めのトークが入ることがあります。「すでに新しい保険の契約が完了しています」と伝えれば、スムーズに進みます。書面やWebで手続きできる保険会社を選ぶと、引き止めのストレスを避けられます。
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📝 この記事の執筆者 暮らしノート編集部|家計管理アドバイザー 「無理なく続く節約」をモットーに、年間100本以上の家計・節約記事を執筆。FP(ファイナンシャルプランナー)の知識をベースに、すぐ実践できる暮らしの知恵をお届けしています。 → このブログについて